技術資料
波、音の「重ね合わせの理」「干渉」のアニメ―ション
月刊「検査技術」への連載した「音(超音波)よもやま話」を再校正したものを後ろの方に載せます。
超音波の計測に絡む色々な技術資料を以下にアップしてあります。
4) 同軸等の簡易長さ測定
11)表面操作法で探触子間相当のエコーが感度良く観測される理由
12)パルス法での音速、伝搬時間測定(正しい音速の測り方)
13)探触子から出る音(振動子励振原理)
14)波の干渉、波の独立性 波の干渉、独立性に関する従来の考え方は間違いであると指摘 主に音に関して連載#33,34にも記載
15)後方散乱
波、音の「重ね合わせの理」「干渉」 直ぐにアニメーションが見たい人は
詳しい説明等は 上記14)参照
書物やウエッブに「重ね合わせの理」「干渉」が記載されているが、ほぼ全てが、本質を理解せずに記載している。波のエネルギーは干渉しても消える事はない。消えるとすると「エネルギーの保存則」が成り立たない。レーサー干渉計等いろいろな機器が光の干渉を利用しているが、光(光子)も干渉して無くなることは無い。素人向けに「干渉して無くなる」と説明しているだけで、正しい説明が難しいかからである。光に関しては、素人は「一見干渉して無くなるかのように観測される」と考えればよい。
光に限らず色々な波があるが、エネルギーを持った波であれば、干渉して消える事はない。数学上の波(専門用語では「情報」と呼ぶ)は計算で幾らでも消すことができる。
エネルギーを持った水面の波では、表面の形(情報)を我々は観測できるが、内部での運動の様子を知ることはできない。
音波もマイクや圧電素子センサーなどで計測できるが、圧力を測っていて、音の波の一部しか測れていない。音は圧力と運動(専門用語で粒子速度)が交互変換して伝わる現象で、運動を計測する手段を持たない。見えない部分をも模擬したアニメーションを見ることができる。
連載 月刊「検査技術」への連載したものを再校正したものです。特に従来から間違っていた音の音速拡散と減衰等に関して詳しく述べます。連載には書けなかった内容も含まれます。
なお、「超音波技術入門(発信から受信まで)」執筆を思い立ってからシミュレーションソフトを含め執筆期間が3月程度だったので、間違いと思いつつも都市伝説を書いたり、その後間違いと気が付いた点が3つあります。1つ目は数式の間違いで、=の両辺で指数が異なっていて、これは読者が直ぐ気が付くでしょう。2つ目は音の減衰です。ニュートンの慣性の法則から、機械振動である音が出た後、無くなる事は有りません。一般に音の減衰と呼ばれる現象は「減衰している様に観測される」が正しい言い回しです。3つ目は振動子の振動現象です。外部から力を加えて振動させる場合と、内部に圧力を発生するなどして振動させる場合では、物理現象が異なります。両方とも区別せずに共振と言われていますが、異なる事に気が付きました。前述の「重ね合わせ」「干渉」などのアニメーションをした結果判りました。後者2点は以下の中で修正しています。
最近の電気自動車のエネルギー回生でもわかる様に、摩擦が無ければ東京大阪間の水平移動にエネルギーは不要だが、高さ位置の変化するのにはエネルギーが必要だ。この一見不思議な現象は音にも当てはまる。
ブランコやバランスボール(衝突実験装置)の運動は音の音圧エネルギー、粒子運動エネルギーを理解するのに都合よい。コンクリートの衝撃破損、世界最古のアーチ型コンクリート製ボストンブリッジや玄翁の頭のすげ替えの話も。
鶴巻バネは音を目視できる最良の実験機器だ。この考察から、音と歪の伝搬の関係を述べる。物の移動も「音」によるものであることが判る。大型船の移動と音の話も。
音と相互作用が無い光弾性法により、鉄に近い音速のガラスを試験片にして、ガラス内の音を観測する。観測結果は探傷器等の画面に表示されるエコー波形とは全く異なる事に気が付く。例えば広帯域探触子から1.5波の音が出ていると信じられていましたが、実際は半波で、歪の大半は受信特性による。
地震、津波、打楽器など音とその仲間の発生をかんがえる。
非破壊検査に主に使われている圧電振動子からの音の電圧印加による発生と、圧電振動子が音を受信したときに発生する電圧について述べる。探触子の簡易チェック法も。
圧電素子とピストン運動による音の違い、実際の探触子から発生する音の音圧波形やその原理、三角波法による振動子の送・受信電圧感度測定、計測上邪魔になる半径振動の原理、一般には気が付かない不良振動子の確認法について述べる。
圧電振動子から音を出すには駆動回路=パルサーが必要だ。定電圧駆動、定電流駆動、最大電力供給、同軸の特性インピーダンスと長さの影響、印加電圧波形と探触子から出る音の関係を述べる。励振電圧電流の測定法も述べる。
基礎実験に良く使われる市販高周波アンプを使った励振やインパルス/インデシアル応答の話をする。
超音波肉厚計、探傷器に使われた各種方式のパルサーの話をする。高速動作のアバランシェトランジスタにも言及する。
各種パルサーと探触子の組み合わせで、発生する音を光弾性可視化装置での観測結果も示し説明する。
強い音を探触子から発生する為の基礎として、ケーブル、励振回路とのインピーダンス整合などについて話す。負荷曲線を求めないと、電圧を高くすべきか、電流を多くすべきかの判断が出来ない事、同軸ケーブルの特性インピーダンスや長さの重要性、インピーダンス・マッチングする為の伝送線路トランスの概念を述べる。
強い音を出すための振動子、探触子側の対処を述べる。1-3など構造か振動子は強い音を出す場合には向かない。λ/4とλ/2法の差異、横振動の影響、積層振動子、分割振動子などについて述べる。
強い音を出すための探触子の収束と、電気的対処(中和、共振、バースト法)や振動子を逆分極脱分極から保護するバイアスに関して述べる。
一般に割れに対しての検出能はX線に比べ良いと言われる理由を述べる。反射を使わないTOFD法で何故割れが見つかるか。接続と接触、微細割れ、自己修復の話もする。
割れの端で切断されたビームの端から連続的にBEDが発生し、それが欠陥エコーとして観測される事を話す。このBEDの一部を回折波と従来呼ばれてきて、壁などが有るので回折すると考えられているが、物理的に正確にはビーム(Beam)に端(Edge)があるので回折(Diffraction)及び拡散(Diffusion)する事を示す。
連載17 裏面反射、フォーカス、輻射角、アレイの隙間とBED
裏面反射では一見そこに振動子が有る様な状況である事、即ち色々なモードの音が発生する。音の送信でフォーカスを絞る事の困難さ、送信音には存在しないゼロ輻射角、アレイ振動子間を直ぐに音が埋める話を、BEDから説明する。
先ず受信時に入射される音波時間幅と振動子で発生する電荷の関係を述べ、BEDとメインビームの重ね合わせによる波形変化、減衰の無い媒質では、遠距離でパルス幅が狭まる、即ち高周波成分が増える事(尻食い現象と呼ぶ)を示す。その為、高調波探傷に使える。
BEDを使った各種探触子の設計例を示す。邪魔な遅延材内の反射エコーを少なくする方法、大きな振動子の端の所謂「角」を除く方法を述べる。
一般に探傷器等の画面で観測されるエコーと探触子で受信された音圧波形は異なる。この関係を示す。探触子に入って来る音は受信振動子と電気回路によるフィルターを通して探傷器画面にエコーとして表示される。探触子入射音の一部がエコーとして表示されるにすぎない。連続波の現象はパルス波の現象の延長線上である事を述べる。
一般に探傷器等の画面で観測されるエコーと探触子で受信された音圧波形は異なる。この関係をシミュレーションソフトP2Rの計算結果で示す。エコー波形から、受信音圧波形への逆コンボリューションは主にノイズの為に困難である。
一般に探傷器等の画面で観測されるエコーと探触子で受信された音圧波形は異なる。この関係を前回に引き続いてP2Rシミュレーション結果を実測波形で示す。如何したらより入射音圧波形に近いエコー電圧波形が得られるか述べる。エコー波形のピークは、一般的に音圧のゼロ付近で、エコーの傾斜が音圧に比例する事も述べる。
一般には知られていないトピックとして、振動子に音が入射すると、反対側から瞬時音が伝わる。この現象がエコーとして探傷器等の画面で観測され間違った判断をする事がある。全ての絶縁体は振動子と同じ誘電体であり、大小の差はあるが電歪と歪電の現象を持っている。
接触媒質は適切なものを使うとSNが向上したりと検査の質が高まる。各種接触媒質に関する話である。SN比が接触媒質の違いで10dBも変化する。高音用接触媒質には、高温まで粘性液体の接触媒質と、高温に成って固体が液体に変わり接触媒質になる2種類ある。濡れ性を浴したもの、拭き取った後の拭き取り確認できるものなど種々。
音が広がる原因、即ちBEDが発生するのはポアソン現象と思われる。それが棒様な細いものの音速に影響し、大きな物体の音速より小さいが、その原因のポアソン現象に関して述べる。コルクの様にポアソン比がゼロに近いと、音は広がりにくい。
一般的に波が伝わる速度の一般式、細い棒の遅れエコー、共振法や打診法での、主に長い棒の音速に関して述べる。
ポアソン比を用いて、薄い板状の物体の音速や通常の探傷に使う音速に関して述べる。尻食い現象や減衰の為に正しい(平均)音速が上手く測れない。計測電気回路のフィードスルーや送信パルサーの立ち上がりの制限で前面音速が上手く測定できない。
減衰の主原因の粒界音速異方性、音速にと減衰の関係に関して述べる。最適検査周波数を知る為のカットオフ周波数に関しても述べる。例えば、これを知れば、10mのコンクリートの反射法測定にどの程度の周波数が最適かわかる。広帯域用振動子の周波数と粒径の関係を述べる。
ゴムなど一般に減衰が多いと考えがちな材料の減衰、スピーカのスパイク型インシュレータの効果の理由、広帯域探触子のバッキングの特性、六方稠密構造、コルク、ウレタンなどの音速と減衰の関係を述べる。
空気内の音波伝搬を、ミクロな話として述べる。水や気体分子の速度分布、ランダム運動、平均自由行程に関して述べる。
空気内の音波伝搬の粒子法シミュレーションを示し、統計的尖鋭度の為に通常の音速測定では、一見音速の分散が無いかの様に測定される事を述べる。
一般に減衰と言われる原因の信憑性に関して述べる。殆どが信憑性は無く、拡散減衰と音速の分散により減衰しけ観測される。熱と音は同じ機械振動で、観測者次第で音の定義は変わる。
波の重ね合わせの理が成り立つ理由、波の干渉、波の独立性が無い事を示す。
前回に続き、波の重ね合わせの理が成り立つ理由、波の干渉、波の独立性が無い事を示す。
一般に音のシミュレーションに使われているFDTD法に付いて基礎や限界を述べる。
音圧場は測定が困難で有る事、音圧はある程度測れるが粒子速度が測れないことなど、音圧場の測定の問題を取り上げる。
従来の専門書に書かれている理論が実際と合わない事が多い。何故実際と合わないか、その間違いを正し、問題点を示す。
微細欠陥等の検出限界は、探触子内部の反射エコーが主である。妨害エコーの原因と対策を述べる。
連載39、40 外来ノイズ対策(前編と後編)
現場での検査では、溶接機等の外来ノイズが入るなどして検査の邪魔になる。この原因や対処方法に関して述べる。また剥き出し電極が水に溶ける対策も述べる。
音のスネルの法則が現実には可成り合わない事や、臨界角を超えても音は伝わる事などを述べる。まずは学生時代の3つの疑問。クサビ交換式探触子の実測入射角等。スネルの法則の各種導出方法。波面の連続性に物理的エビデンスは無い。フェルマーの最短時間の法則からの導出。波面には境界での連続性が無い事がある。
波面には境界での連続性が無い場合のスネルの法則の導出。スネルの法則は単に幾何学。試験片に開けた穴は大方無指向性である。小さな振動子からの音は広がる。斜角振動子の場合、屈折して等価的に小さな指向角が大きな振動子と考えられ、等価振動子サイズを考慮する必要がある。無指向性の穴からの反射波は探触子楔内では屈折角が大きい方に感度ピークがある等。
FDTDシミュレーションの限界、FDTDによる音のスネルの法則の検証。相当。臨界角を超えた場合。SV70度。SV90度。
探触子から媒質にどの様に音が伝わるかをより詳しく述べる。その初回は超音波検査機器でエコーとして観測されている波形や指向特性など、実際の音は異なる事を主に延べる。
====以降作業中 なお、月刊「検査技術」には掲載済みです。
FDTDに依る模擬の利点欠点を述べる。また一次元FDTDにより、探触子から出る音の実態を知る。音速分散がある場合とない場合も模擬する。
連載46 探触子からの音の送・受信(その3)ドライブ回路
探触子から出る音と振動子の励振回路は深くかかわっている。一般的スクエアパルサーなどの特性や実測波形を説明する。
探触子から出る音は、共振と反共振音間の周期の音で、必ずしもインピーダンス・アナライザーで測定した共振周波数でなない。振動子に繋がったインピーダンスによりかわる。
連載48 探触子からの音の送・受信(その5)コンポジット振動子
通常のセラミック振動子は大方均質と考えられるが、コンポジット系特に1-3や2-2構造は異方性で、単純に単一素材の振動子と考えてはいけない。
連載49 探触子からの音の送・受信(その6)狭帯域振動子の励振と電圧電流音圧波形
狭帯域振動子をサイン及び矩形バースト励振した場合の、印加電圧、端子電流、振動子表面音圧について述べる。